ワインエキスパートに2回落ちた話(2回目の試験)

料理・お酒

 前回は2回落ちた試験の最初の話をしましたが、今回は2回目の試験についてです。落ちるというネガティブワードですが、受験生の方はこの記事を参考に、同じ轍を踏まないように試験に前向きに活かしてもらえたら幸いです。

2回目の試験を受けるまで(2021年)

 2回目は1年空いて2021年に受験しました。

 これは最初に落ちた翌年(2020年)がコロナ禍の真っ只中、これからどうなるかといった時期で試験自体はありましたが、とても受ける気にはならず受験しませんでした。当時、世界全体がどうなっていくか先が見えない中で、私のモチベーションもダダ下がりでした。外出して感染でもしたら…といった感じで、あの頃は皆さんもあらゆることに抵抗があった時期ではないかと推察されます。

 先も見えないので勉強にも身が入らず、テイスティングも数える程といった具合で、最初に落ちた年から早1年半程が過ぎ、2021年の申し込みの期限も迫ってきていました。

 2020年よりもコロナの状況がわかり行動指針も示されてきた中で、私にはある1つの懸念が出てきました。2021年を受けなければ、一次試験免除の猶予期間の2年を潰してしまい翌年(2022年)が免除期間ラストイヤーになってしまうっ…!!

 そうです、一次試験を受かった人は二次試験に万が一落ちたとしても、当時は一次試験合格から3年間(現在は5年の期間の内、3回受験可)の一次試験免除があったのでした。2021年に受けなければ2年のブランクで免除資格ラストイヤーはキツイ…、そう思いました。そして2022年落ちたとしたら、また一次試験から受け直さなければなりません。

 テイスティングだけならまだ気の持ちようがありますが、一次のあのキツイ筆記の日々をもう一度やり直すというのはハッキリ言って心が折れます。 

 コロナの心配はとてもありましたが、そういった理由から2021年は、準備の如何に関わらず、受けとかないのはマズいということで受験を決断した訳でありました。

2回目に落ちた時の考察(2021年)

2021年の出題されたお酒は以下の通りです。

  1. フランス/Riesling/2019 × フランスのアリゴテと回答
  2. フランス/Viognier/2019 × ニュージーランドのソーヴィニョン・ブランと回答
  3. スペイン/Tempranillo/2017 × フランスのガメイと回答
  4. チリ/Cabernet Sauvignon/2018 × アルゼンチンのマルベックと回答
  5. テキーラ × たしか泡盛と回答

 この2021年は記憶が確かなら、全部外した気がします。コロナ禍でモチベーションがダダ下がりのところに付け焼刃の知識、なまじ1回受験しているので穿った見方での試験対策等でより悲惨な結果になりました。

 まずフランスの辛口のリースリングを正しく認識して飲んだことがなく(リースリング自体は飲んだことはありました)、酸の強さだけに囚われフランスのアリゴテだと決めつけてしまいました。この年のリースリングは、度数的にも少し強めで冷涼産地のリースリングとは違っていたので、まだ迷ったのは理解できます(勿論、私の勉強不足ですが)

 それに対して、次のヴィオニエ、テンプラニーリョは弁解の余地が一切ございません。ヴィオニエを飲んですぐ、自分のデータにないワインとして軽いパニックになりました。当時はヴィオニエも飲んでいませんでした。よくそれで受験したなと思います。ボリューム感と草の青っぽさを感じたことを理由に確かニュージーランドのソーヴィニョン・ブランとした気がします。ヴィオニエはある程度、見当をつけていないと、教科書的な香りのコメントに対して内容がずれてしまうことが多いので、点はほとんど取れないことがあります。模範解答を振り返ると、案の定ずれていました。

 テンプラニーリョも同様で、基礎の知識はないくせになまじ知っているのでフランスのガメイなどと答えるハメになってしまった訳でした。このワインに関しては、最初の外見のルビー、ラズベリーレッドの色だけを見て淡いから軽めの赤だと決めつけるというとんでもないことをしていました。実際は液面の淵等、熟成の兆候が出ていることが模範解答から示されているのですが、そんなこと一切、考えも着目もしませんでした。未熟の一言に尽きます。

 4つ目のカベルネ・ソーヴィニョンは最初に受けた年(2019年)も出たのですが、2019年はピーマンのような青臭さ、所謂ピラジン香と言われる香りをすぐ感じられましたが、このチリのカベルネ・ソーヴィニョンはピラジン香を全く感じませんでした。カベルネ・ソーヴィニョンは全部青っぽい香りがすると思いこんでいた私は、その時点でカベルネ・ソーヴィニョンを外し、前の試験で選んだアルゼンチンのマルベックをまた選んでしまうのでした。マルベックの特徴も言えず、選ぶ根拠も持っていないのに選ぶというのはまさに「溺れる者は藁をもつかむ」といったところでしょうか。

 5つ目のテキーラはカクテルとしては飲んだことありましたが、単体としてはほぼなかったように思います。見事に外しました。

2回目の試験で落ちたことから学ぶ

 コロナ禍真っ只中でモチベーションは上がらず、でも一度落ちている身として何とか受かりたいという気持ちがあり迷走していました。特に何の品種が出るか近年の傾向を調べ、シラーが出題されるとアタリをつけてシラーとリースリングは重点的にティスティングしたりはしていました。結局シラーは出ずに、リースリングもわかりませんでした。これは、基本となる教科書的なワインを飲まずに、その辺のスーパーで手に入るようなワインでテイスティングしていたことが大きな原因でした。基本としての味をインプットしないまま、闇雲にティスティングをしており、しかもニューワールドのわかりやすい特徴に囚われ間違ったまま覚えていました。

品種ごとの模範解答の丸暗記という愚行もしました。

勿論、覚えておいて損はありませんが、なぜそれを選ぶかの根拠が述べられることが大切になります。

そうすれば、品種を外しても似たような品種を選ぶことができ、最小限の減点で傷が少なくて済みます。

 テイスティングは旧世界のある程度、作りのしっかりとしたワインを最初に入れて、後から、印象が強くなるニューワールドのワインとの違いを確認できると、私のようなドツボにハマることはないと思われます。

 教科書的な基本のワインがわからないという方はオンラインのワインスクールでそういったワインをまとめて提供してくれるところがありますので、そういったところを利用してみるのも手かもしれません。私も試験直前でしたが、受かった年とてもお世話になりました。

 2023年の試験も本番まであと1週間となりました。受験される方々のがんばりが実を結ぶことをお祈り申し上げます。

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